あらすじ
テレビ局の制作進行(AD)だった男が、過労死の末に異世界へ。
授かった戦闘力は、ゼロ。
だが彼には、この世界の誰も持っていない技能があった——「段取り」である。
万年最下位パーティーに雑用係として配属されたヨシダは、剣も魔法も使わない。
使うのは、手帳と、進行表と、たった一言。
「——巻いてください」
魔物の活動時間、迷宮の変動周期、兵糧、睡眠、そして人間関係。
すべてを段取りするだけで、最弱パーティーはダンジョン最速記録を叩き出す。
これは、スポットライトの下に立たない男が、世界を回していく話。
【登場人物】
ヨシダ……元テレビAD。戦闘力ゼロ、段取り力は異世界最強。表情が動かない。本音は手帳の中にしかない。口癖は「巻いてください」「現場が回れば正義です」。
セレナ……王国騎士団長。剣なら誰にも負けない。だが正論の通じない場所で初めて敗北を知り、ヨシダから「現場の言語」を学んでいく。
アレン……最弱パーティーのリーダー(自称・勇者)。剣歴十一年、勝率ゼロ。指示を待つ側から、自分で判断する側へ。
ロイス伯爵……ギルドの新スポンサー。息子を主役にしろと無茶を言う成金貴族——に見えるが、領地の帳簿には別の事情がある。
バルド……ロイスの息子。実戦経験ゼロで傲慢。だが金の鎧の下で、手が震えている。
ガードナー……ギルド幹部。二十年前、この街の現場を一人で回し、そして潰れた男。右手が震える。
【この世界の用語】
地形変動迷宮……構造が周期的に変わる迷宮。変動には規則性がある。
魔力回復食……魔法で強化した携行食。この世界の栄養ドリンク。
拡声魔導具……離れた味方に声を届ける道具。魔力遮断区域では沈黙する。
二つの月……二つの月齢の組み合わせで魔物の活性が変わる。読めれば、戦わずに進める。