あらすじ

「王太子殿下には、お前より華やかなセシリアの方がふさわしい」
亡き女公爵を母に持つエステルは、婿養子の父から突然、王太子との婚約者を義妹に交代するよう命じられた。
幼い頃から母の帳簿を受け継ぎ、領地の財政、港の交易、備蓄管理まで担ってきたエステル。
それでも父と継母が望むのならばと、彼女は静かに婚約解消書へ署名し、公爵邸を去った。
一方、念願の王太子の婚約者となった義妹セシリアは、自信満々に王宮へ向かう。
「難しいことは官僚に任せればよろしいでしょう? わたくしは王太子妃として、殿下の隣に立てばよいのですもの」
しかし、王太子妃に求められるのは、美しいドレスでも華やかな笑顔でもなかった。
国庫、外交、災害備蓄、地方領主との協力。
責任を理解しないセシリアの婚約は、わずか三日で白紙に戻される。
慌てた父は、エステルに王太子との婚約を元に戻すよう命じるが――。
「一度手放した婚約も、失った信用も、帳簿の数字のようには書き戻せません」
しかも父たちは、まだ知らなかった。
エステルが放棄したのは、王太子との婚約だけ。
亡き母が遺した公爵位も領地も、最初から父や義妹のものではなかったことを。
エステルが屋敷を去ったことで決裁は止まり、備蓄は尽き、不正な支出が次々と明らかになっていく。
彼女は復讐しない。
罠も仕掛けない。
ただ、自分の責任ではなくなった仕事を、やめただけ。
これは、地位だけを欲しがった者たちが自らすべてを失い、責任を背負い続けた令嬢が正統な女公爵となるまでの、静かで鮮やかな逆転劇。

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アルファポリス
アルファポリス2026/07/24
  • 現在の作品王太子との婚約は義妹に譲ります――ただし、母から継いだ公爵領まで差し上げるつもりはございません