あらすじ
二十歳の大学生・橘春人の部屋には、許嫁の御影莉央が毎週木曜日に泊まりに来る。
合鍵を持ち、専用の歯ブラシや部屋着まで置いて、春人の作った夕食を食べ、春人のベッドで眠る莉央。しかし二人は、手をつないだことすらない。
「何も起きないから泊まれるんじゃん」
莉央が自分から触れたいと思うまで、春人は何年も待ってきた。だが、恋人にはならないまま、ほかの女性とも付き合わないよう求められ、ついに気づく。
自分が欲しいのは、いつか結婚するという約束ではない。今の自分を、好きな相手に選んでもらうことなのだと。
春人は合鍵を返してもらい、毎週木曜の宿泊予定を削除する。
その直後、隣室へ越してきたのは、距離感が近すぎる帰国子女ギャル・七瀬エマだった。
「お礼にハグしていい!? 嫌なら全然ナシだからね!」
一秒だけのハグにも本人の返事を待つエマは、遊びたいことも、くっつきたいことも、春人の希望を聞きながら二人で決めてくれる。
初めて女の子と並んで料理をして、仕切りのないソファで映画を見て、自分から抱きしめ返して――春人の空白だった予定は、エマとの楽しい約束で次々と埋まっていく。
一方、莉央はまだ、春人が少し拗ねているだけだと思っていた。
返した合鍵も、なくなった木曜日も、作られなくなった弁当も、頼めばいつか元に戻るはずだった。
けれど春人は、もう待っていない。
触れ合うことから始まった帰国子女ギャルとの恋と、触れなくても失わないと思っていた元許嫁の後悔を描く、大学生すれ違いラブコメ。