あらすじ
搭乗中のトラブルで、通路に立たされたまま何もできなかった三雲茜。原因もわからず、ただ視線を浴びるしかなかったあの二十分間が、彼女の進路を決めた。
2006年、航空会社に入社した三雲は、航空整備士として現場に立つ。周囲は男性ばかりの職場で、資格を取り、経験を積み、少しずつ「直す側」としての自分を築いていく。
指導にあたるのは、ベテラン整備士・小鳥遊洋一。厳しくも実直な彼の言葉は、いつしか三雲自身の言葉として根づいていく。
だが、業務職として採用された三雲には、資格取得後は現場を離れ間接部門へ、という会社の敷いたレールが待っていた。積み上げてきたものを手放すのか、自分の意志で現場に残る道を選ぶのか――。
2010年7月、ハイドロリークという小さな綻びが、三雲に、自分がどこに立ちたいのかを問いかける。
契約もキャリアも、誰かに決めさせない。航空整備というリアルな現場を舞台に、一人の女性が「直す側」であり続けることを、自分の意志で選び取っていく物語。
※本作はフィクションです。作中に登場する航空会社・人物・出来事等は架空であり、実在するものとは関係ありません。