あらすじ
2014年、金曜日の午後6時。
人であふれる名古屋駅。
娘への手土産に「ぴよりん」4羽を買った
59歳の父・黒田義明と、午後7時の重要会議へ
向かう食品会社部長・佐伯圭太は、よく似た
黒いバッグを取り違えてしまう。
父の手に渡ったのは、娘が書いたとは
知らない企画書。
部長の手に渡ったのは、崩れたら終わりの
ぴよりん4羽。
娘の仕事だと知らず、企画書を赤ペンで
真っ赤にしていく父。
会議に急ぎたいのに、ぴよりんを守るため
走れない部長。
スマートフォンも、現在地も、既読もある。
それなのに父と娘は会えず、必要なものだけが
届かない。
その頃、名古屋駅の別々の場所では、10年前、
20年前に小さな偶然から何かを受け取った人々が、
今度は名前も知らない誰かの人生に、知らないまま
小さな灯りを渡していた。
つながっているのに、届かない。 届かないはずなのに、誰かには届いている。
『新名古屋駅、午前八時の卵焼き事件』
『新名古屋駅、午前八時の味噌かつ事件』
20年の時間をつなぐ、名古屋駅三部作・完結編。
この作品は前作が未読でも単独作品として楽しめますので、ぜひご覧ください。
有賀 斗真