あらすじ
論文を書き終える前に、研究室の机で死んだ大学院生は、異世界の貴族オーレリアンとして生まれ直した。
十二歳で与えられたのは、歴代領主が平均三年で死ぬアシェンマーク男爵位。帝国が厄介者を送り込むための、名ばかりの領地だった。住民も都市を追われ、食料は尽きかけ、魔獣は崩れた教会まで迫っている。
彼が任地へ持ち込めたのは、魔法を「解く」頭脳と、帝国が彼を捨てるために残したわずかな法的権限だけ。
だが黒碑(オベリスク)へ近づくと、オーレリアンの魂だけが時の外に凍りつき、身体と同じ時を刻まなくなる。他者には瞬きほどの間に、彼だけが膨大な式と可能性をたどれる――魂が身体へ戻れなくなる危険と引き換えに。
法則の違うはずの世界で、なぜ人も火も前世とよく似ているのか。何が彼を生まれ直させ、黒碑は何を待っているのか。帝国も教会も、それを崇めながら答えを知らない。
追放の地で、オーレリアンは自らの「死を許されぬ騎士」と出会う。やがて彼が生み出す機械は、自ら魔法を使い、働く意味を変え、帝国と教会を揺らしていく。