あらすじ

本当の身分を明かせば、たちまち上級妃の座に収まれる。けれど玲は、それを望まなかった。血筋でしか見られない自分ではなく、一人の医者として誰かに必要とされたくて、市井に紛れて生きてきた。 ある日、皇后の不調を診るため後宮へ呼ばれた玲は、皇后付きの内侍長・珪玄と出会う。整いすぎた所作、隙のない受け答え——ただの宦官には見えない何かを、玲は見抜いてしまう。 皇后の心労の裏に潜む、古参女官の異変。実家からの不審な文。少しずつ明らかになっていく後宮の歪みを追ううちに、玲と珪玄は互いに踏み込みすぎない距離を保ちながらも、少しずつ言葉を交わすようになっていく。 珪玄もまた、家督争いから逃れるために身分を偽り、この場所に居場所を作った男だった。 事件を追うたびに垣間見える、互いの過去のかけら。 歩み寄るほどに近づいていく、二人の抱えた孤独。 血を偽る者と、名を偽る者。 後宮という檻の中で、二つの嘘は、やがて一つの真実に変わっていく。

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小説を読もう2026/07/24
  • 現在の作品後宮薬師と麗しき偽りの宦官