あらすじ
『――あなたに未来を知る力を、生涯で三回だけあげる。今のが、一回目よ』
敵国へ嫁ぐ馬車の中で、第七皇女マリエルは"未来"を視た。灰色の広場、鳴りやまない鐘。そして――浪費、内通、「パンがなければお菓子を」の罪状を着せられ、民の前で断罪される、自分の姿を。
前世は、ネットニュースの編集者。言葉が人を殺すことも、噂が真実を上書きすることも、いやというほど知っている。だから、わかってしまった。あの揃いすぎた罪状は、怒った民の声じゃない。誰かが書いた"見出し"だ。
しかも予知の中の彼女は、うつむいて自分を見られない夫と――かつて、確かに愛し合っていた。感情の出し方を知らない無口なあの人が、彼女の前でだけ、少しずつ笑えるようになった、あの朝。その温もりさえ、同じ誰かに毒を盛られて、壊されたのだとしたら。
だったら、断罪の広場に立たされる前に。こちらから始めるまで。武器はチートじゃない、前世仕込みの"広報"。嘘を刷られる前に、真実を刷ってやる。書いた奴も、刷った奴も、金を出した奴も、まとめて日の当たる場所へ引きずり出して。
無口な陛下を、少しずつ甘くしながら。奪われるはずだった未来を、この手で取り戻す。
既婚スタート・処刑エンド回避型。中世×情報戦の、痛快・宮廷広報ロマンス、開幕です。