あらすじ
「ルーカス様、来週の日曜日のことなのですが」
「え? 来週……?」
我が家の東屋で、婚約者のルーカス様とお茶を飲んでいる最中、私がそう訊くと、ルーカス様はポカンとされた。
「何かあったっけ?」
「何って、以前お伝えしたではありませんか。私が王家主催の詩歌コンテストで大賞を受賞したので、その授賞式があると」
「あっ」
「ルーカス様も私の婚約者として出席していただくので、当日は16時にお迎えに上がりますが、よろしいですよね?」
「あ、そ、そういえばそうだったね……。ゴメン、エリーゼ! その日は、ゲルルフと飲み会をする約束をしちゃったんだよ!」
「……」
ルーカス様が手を合わせて、私に頭を下げる。
「またですか? 先月のお茶会も、ゲルルフ様と飲み会が入ったからと反故にされましたよね?」
「いや、うん……。君には悪いとは思ってるよ。でも……」
「本当に悪いと思ってらっしゃるなら、私の授賞式の日程はお忘れにならないと思うのですが」
「う、うるさいなッ!! 飲み会だって大事な仕事のうちなんだから、しょうがないだろッ!?」
途端、ルーカス様はテーブルを乱暴にガチャンと叩いた。
カップの中の紅茶が零れ、テーブルを濡らす。
「僕とゲルルフは、将来爵位を継ぐ嫡男同士! 言わば未来のビジネスパートナーなんだ! そのパートナーと親睦を深めるために、一番効果的なのが飲み会という場なんだよ! 女である君にはわからないだろうけど、男には男の文化があるんだ。その辺、僕の妻になるからには、理解しておいてくれないと困るよ。まったく」