あらすじ
地上が滅びてから、人類は六つの浮遊島からなる空中都市《アスハラ》で暮らしている。
その最下層に位置するノクターン島。
廃棄区と呼ばれるその街で、十八歳のミレイは、上層から落ちてくる廃品を拾って売る「回収屋」として生きていた。
ある日、ミレイは一つの黒い鞄を拾う。
持ち主は、中央人口管理局長官――ヴィクトル・ハイン。
ところが鞄を届けに行ったミレイは、役所の職員から奇妙なことを告げられる。
「ヴィクトル・ハインという人物は存在しない」
確かに残されている身分証。
過去の写真に写る男。
それなのに、公式記録からは名前だけが消えている。
さらに彼の手帳には、意味不明な一文字が繰り返し記されていた。
《VII》
そして、建国当時の写真に写っていたのは、六つではなく七つの浮遊島だった。
なぜ、七番目は歴史から消されたのか。
調査を始めたミレイはやがて、アスハラ建国の裏側に隠された「選別」の歴史と、現在の階級社会を支える巨大な秘密へ近づいていく。
人類を救ったとされる楽園は、本当にすべての人間を救うために造られたのか。
そして――
人間の価値を決める権利は、いったい誰にあるのか。
空に築かれた楽園の歴史をめぐる、ダークファンタジー・ミステリー。