あらすじ
*登場人物
啓悟:育児中の主夫。中学時代に書いた創作ノートを笑われて以来、自分の言葉を隠してきた。
望未:啓悟の娘。白い懐中電灯で、旧工場に眠る「黒歴史箱」を見つける。
祥子:資料投影を任された女性。操作ミスで箱の中身を町内会館に映してしまう。
辰紀:中学校教員。若いころの未熟な紙を見られ、今の教室と向き合う。
凪佐:中学生。大人たちの笑いに傷つき、「笑って終わりにしないで」と告げる。
凛子、麻絢、真衣乃、朋見たち:それぞれの恥ずかしい過去を抱えながら、旧工場の新しい使い道を考える住民たち。
*あらすじ
港町・茜浦市の旧冷凍食品工場で、住民たちの失敗作文、舞台小道具、反省メモ、創作ノートなどが詰まった段ボール箱が見つかる。箱には黒い文字で「黒歴史がバレました」。育児中の主夫・啓悟は、その中に自分が中学時代に書いた「竜の力を引き寄せる者」というノートを見つけ、胸の奥にしまっていた痛みを思い出す。
ところが町内会館の説明会で、祥子が資料フォルダを取り違え、箱の中身が住民たちの前に映ってしまう。笑いが起きる中、幼い望未は「これ、だれかが一生けんめいだった紙でしょ」と言い、中学生の凪佐は「笑って終わりにしないで」と席を立つ。
恥ずかしい過去は、捨てれば消えるのか。隠せば守れるのか。それとも、本人が選んだ形で持ち直せるのか。啓悟たちは、旧工場を三か月だけ開く「あおみち記録室」に変えるため、本人許可制の展示、非公開箱、青い反射板、唐揚げ弁当、巨大幕を準備していく。
夜明け前、干潟に細く現れる青い小道。そこを歩いたとき、啓悟はようやく、自分の黒歴史が誰かを笑わせるだけでなく、誰かの一歩を照らすこともあると知る。