あらすじ
ボクは吸血鬼。血統だけは古いけど、生まれはスラム。前世は日本のしがない社会人で、今世はコミュ障をこじらせた、しがない吸血鬼。挨拶されただけで壁と一体化したくなる、ボクみたいなのが、名門だらけの貴族学園に放り込まれてしまった。もう帰りたい。
なのに——入学初日。ボクの鼻が、世界でいちばんいい匂いを見つけてしまった。
番い(つがい)。生涯にただ一人の、運命の相手。
その香りをたどった先にいたのは、「氷華の悪役令嬢」と恐れられる公爵令嬢・アイリスさま。学園中が震え上がる、冷たくて、綺麗で、ボクなんかとは住む世界が違う人。
番いにしたい。噛みたい。ずっとそばにいたい。
でも、コミュ障のボクは、その気持ちを一ミリも言葉にできない。もじもじして、じーっと見つめることしかできない。
――そしてアイリスさまは、その視線を完全に誤解した。
「スラム出身の分際で……私に喧嘩を売っているのね。いいわ、受けて立つ」
ちがう。ちがうんです。ボクはただ、あなたのことが気になっているだけで。
勝手にライバル認定してくる高慢令嬢と、求愛したいのに無言でつきまとうだけの陰キャ吸血鬼。すれ違い全開の、番いにしたい片想いラブコメ、開幕です。