あらすじ
森の中に残された、古い療養院。
聖女に選ばれたばかりのリナリアは、濁った井戸を清めるため、神官とともにその建物を訪れる。
患者はもういない。
呼び鈴を鳴らす者も、いるはずがない。
それでも夜になると、誰もいない病室から鈴が鳴る。
洗面台からは赤い水が流れ、濡れた子供の足跡が廊下を歩いていく。
神官は言った。
「古い配管の錆です」
けれど、療養院の記録からは、一冊の帳簿が失われていた。
百年前、ここで何が起きたのか。
誰が呼び鈴を鳴らし続けているのか。
そして聖女に求められている「清める」とは、本当は何を消すことなのか。
赤い水と、百年間鳴り続けた呼び鈴をめぐる、制度ホラー。