あらすじ
現実世界では、ごく普通の高校二年生。
しかし神代悠真には、誰にも言えない秘密があった。
それは、生者の世界と死者の世界を自由に行き来できること。
霊界には、地下百階層からなる巨大迷宮《深淵迷宮アビス》が存在する。
現在、人類が到達しているのは五十階層まで。
最深部に眠る《境界核》へ辿り着けなければ、現実世界と霊界を隔てる壁は崩れ、無数の霊と魔物が人間界へ溢れ出してしまう。
昼は高校生、夜は探索者。
二つの世界を生きる悠真は、霊界で出会った仲間たちと命を懸けて迷宮へ挑む。
冷静な魔法剣士アイリス。
仲間の帰還を待ち続ける受付嬢リシェア。
誇り高き聖騎士セレナ。
明るく距離の近い獣人剣士ミア。
そして、悠真の秘密を追い、ついには霊界へ足を踏み入れる幼なじみ・朝霧美月。
共に戦い、支え合い、幾度も死線を越える中で、少女たちはそれぞれ異なる形で悠真へ恋心を抱いていく。
しかし、この迷宮では仲間を失うことさえ力となる。
強い想いを残して散った者は《遺装》と呼ばれる武具となり、悠真に剣技や魔法、そして最期の願いを託すのだ。
受け継ぐたびに強くなる。
その代わり、失った仲間の記憶と痛みも、自らの心に刻み続ける。
やがて明らかになる迷宮誕生の真実。
世界崩壊まで残された時間は、霊界でわずか三十日。
仲間との絆、育まれる恋、避けられない別れ。
すべての想いを一発の弾丸に込め、少年は世界の運命を決める最深部へ挑む――。
これは、英雄の物語ではない。
大切な人たちの想いを背負い、それでも未来を選び続けた、一人の少年の物語。