あらすじ
蒸気とネオンの魔導光が交錯する、大正浪漫の面影を残す帝都。
生まれつき魔力を持たない平民の娘、友希(ゆき)は、ある夜、厳重な密室の殺人現場で、記憶喪失の美少女・月乃(のん)を救い出す。
その時、友希の中に眠る力が目覚めた。
それは、魔力ゼロの身でありながら、他人の魔術回路を強制上書きし、出力へと跳ね上げる異端の能力。
規律の塊である堅物の管警・梶原清衡(かじわらきよひら)。
陰謀で滅ぼされた名門の生き残り・橘彰親(たちばなあきちか)。
友希が彼らの肌に触れ、魔力回路を繋ぐたび、男たちは身震いするほどの万能感と、魂を支配される甘美な快感に狂わされていく。
「私の理性をこれ以上狂わせるな……」(執着の管警・清衡)
「お前のその能力、俺以外の男に触れさせるなよ」(独占欲の書生・彰親)
友希の能力を求め、悪徳公家、異国のスパイ、さらには国家権力までもが強奪戦に名乗りを上げるが──
「私達を縛る規則なんて、全部書き換える」
これは、男たちの狂信的な独占欲をいなしながら、魂で結ばれた二人の少女が、国家のシステムを壊して深海へ脱走する、自立と反逆の物語。
──誰の手も届かない海の底で、私たちが『新しい家族』になる。