あらすじ
探索者全盛時代。
三十三歳のコンサル会社員・橘直人は、知り合いの中級探索者を自宅に呼びつけ、突然こう宣言した。
「いきなりだけど、小説家になろうと思う」
ダンジョンに潜る体力も、ダンジョンTuberになる度胸もない。
それでも探索者市場には乗りたい。
そこで直人が目をつけたのは、国内最大級の小説投稿サイト――『なろう! 小説家に!!』だった。
人気作品を分析し、売れる要素を並べれば、自分でも簡単に成功できる。
「大丈夫。俺ならいけるいける」
そう小説家を舐め腐っていた直人だったが、最初に投稿した力作は、驚くほど誰にも読まれなかった。
「これ、小説じゃなくて事業計画書っすよ!」
ツッコミ担当の中級探索者・水城ミナに罵倒されながら、直人は少しずつ学んでいく。
タイトルは、読者を呼び込む入口。
あらすじは、作品で味わえる面白さの約束。
第一話には、続きを読みたくなるフックが必要。
しかし、入口だけを整えても、物語そのものが面白くなければ読者は残らない。
ランキング、アクセス数、ブックマーク、評価、そして読者から届く感想。
失敗するたびに仮説を立て、現役探索者の体験を聞き出し、作品を書き直していった直人は、やがて一つの探索者小説を生み出す。
会社をクビになった男が、深夜ダンジョンでゴミを拾い、【鑑定】によって成り上がっていく物語を――。
これは、小説家を完全に舐めていたコンサル会社員が、投稿サイトの攻略に挑み、本当に賞を取るまでの物語。
そして、タイトル、あらすじ、第一話、物語の面白さとは何かを、失敗しながら学んでいくフィクション創作論である。