あらすじ
相談室は、いつも白かった。
扉が開くと、まず猫が入ってくる。名はハル。
次に入ってくるのは、法律補助AI「レイ」。人型ではない。薄い板と、スピーカーだけの存在。
担当弁護士は、いつも来ない。
レイは裁かない。ただ、聞く。
横領、ハッキング、誹謗中傷、家庭内の暴力――罪の形は、依頼人の数だけある。
だが、レイが本当に知りたいのは、罪そのものではなく、そこに至るまでの時間だった。
〇・三秒の沈黙。
言いかけてやめた言葉。
隅で丸くなっていた猫が、時々、誰かの足元に寄っていく。
これは、法廷劇ではない。
面談室に流れる、静かな時間の記録。