あらすじ
宇宙旅行サイトで、地球の平均評価は一・四。営業停止まで、あと三十日。
寄せられた不満は「重力が重い」「生き物が死ぬ」「住民が笑わない」。低評価を恐れた地球は、海を温め、夜を明るくし、学校で子どもたちに接客笑顔を練習させ始めた。観光船が来る時間には、年老いた住民へ外出を控えるよう通知まで届く。
海辺の町に住む十一歳の澪は、宇宙観光を単純に嫌うことができない。母の仕事も、祖母の目を治した医療機械も、観光と交易が運んできたものだからだ。
そんなある日、宇宙からの旅行者が祖母へレンズを向ける。翻訳機は、年老いた祖母との記念撮影が「標準体験料金に含まれている」と告げた。澪は祖母の前に立ち、撮影を断る。
その日の午後、町に一つ星レビューが届いた。市役所で観光対応を担当する母は、娘と祖母が撮影を断ったことについて、町の謝罪文を書かなければならない。
なぜ、撮影を断った側が謝らなければならないのか。そもそも旅行サイトは、地球に暮らす人々を何として扱っているのか。
納得できない澪がレビューの返信画面を開くと、文章欄より先に、澪と地球の関係を尋ねる質問が現れた。澪が正直に答えた瞬間、誰も教えてくれなかった黄色い画面が開く。