あらすじ
幼少期、家庭にも学校にも居場所を失っていた「私」は、誰も近寄らない暗い路地裏を唯一の安らぎの場所にしていた。
そこに現れた一匹の黒猫は、孤独な私の話を黙って聞いてくれる、かけがえのない存在となる。
しかし、ある日を境に、路地裏へ向かう私の背後から、不気味な「足音」が聞こえるようになる。
誰もいないはずなのに、確実に近づいてくる硬い音。逃げても、隠れても、音は私を追い続ける。
黒猫はその存在から私を守るような行動を見せるが、音の正体はわからないまま、私は路地裏から離れることを決意する
それから十数年、大人になった私は、かつての記憶を確かめるため、再びあの路地へ足を踏み入れる
あの足音は一体何だったのか
そして、あの猫はなぜ私を引き止めようとしたのか
幼い少女が出会った「孤独」と「優しさ」、そして忘れられない恐怖の記憶を描いた、切なくも不穏な怪異譚