あらすじ
「この国を変えたい」
王女レティシアは、他国に領土も富も奪われながら、抗議することしかできない祖国の姿を見て育った。
それは特別な敗北ではない。
弱い国にとって、いつものことだった。
十歳の誕生日。父王から欲しいものを尋ねられたレティシアは、宝石でも馬でもなく、辺境のリンデ村を自分の目で見たいと願う。
そこで彼女が目にしたのは、怠けているわけでも、土地が痩せているわけでもないのに、誰も懸命に働こうとしない村だった。
働いても、暮らしは良くならない。
成果を上げても、本人には何も残らない。
村人も、山賊となった者たちも、王家を信じてはいなかった。
王女の身分も、王家の印も役には立たない。
最初の交渉は、完全な失敗に終わる。
それでもレティシアは、失敗の記録と現地の声を抱えて王都へ戻った。
そして、大臣たちの前で告げる。
今の仕組みのままでは、この国は強くなれない。
だから、この村だけでも変えさせてほしい――と。
人が自分から働き、豊かになれる仕組みを武器に、小さな王女が小さな村から国を変えていく。