あらすじ
母が事故で死んだ日、わたしは電話に出なかった。
残されたのは、たった14秒の留守電。「みーちゃん、ごはんちゃんと食べてる?」——それだけ。
四十九日が過ぎた夜から、毎晩それを再生するのが習慣になった。
ある夜、伝言が「一言」増えていた。
うれしかった。怖いと思うより先に、もう一度聴けたことがうれしかった。
伝言は夜ごとに育っていく。優しい言葉が、すこしずつ、質問に変わっていく。
「寒くない?」「ひとりで平気?」
「……そっちに、行ってもいい?」
——返事をしては、いけない。それだけは、なぜかわかるのに。
夏のホラー2026参加作品。音をテーマにした、切なくて怖い話。