あらすじ
冬月夜空(ふゆつきよぞら)は憧れる。あの夜空に。あの暗闇に。
2025年7月5日。ある夏の訪れを感じる日。開け放した窓から外を眺める。
時刻は深夜。部屋ではカチカチという時計の針を刻む音だけが満たす。
東京。郊外。その一角。
その日、少女は此処ではない何処かを望んだ。それこそ、誰も自分の事、いや名前すらも知らず生きていける場所へ。その願いが突如として叶ったのか、目を覚ますと見覚えのない海岸。そこで目覚める。不思議な事に、足元には灰。それは私に付きまとうかのように軌跡を描き始める。
これが何を意味するのかは分からない。なにより、自分がどうなったのか分からない。分からない事ばかり。けれど、別に。
「どうでも良い」と。
当の本人はお構い無し。それどころか、その灰を見て「なんだかふわふわして可愛い」と、そう思って。
しかし、そんな様子の少女が進んだ先で自らの生きる意味を見つめ、選ぶ答え。
舞台は数いる魔女によって、めちゃくちゃにされた「終末世界」。明けぬ夜に包まれたその場所では僅かに残った人々が日々を諦め、また足掻く事もせず。身に受ける絶望を全て受け入れたように生きる。
私はその世界を歩み、自らの灰で満たしていく。
ある時は、愚かな街。暗い森。死が溢れる谷。そして、炎の街、雪原と。とにかく多くの場所へ。
気が向くままに。導かれるままに。
巡る場所は様々。けれど、その時々(ときどき)を確かに歩み、出会い、記して。それに伴う沢山の気持ち。
それらを越えて、ようやく辿り着く旅の果て。
待ち受けていたモノ。あるいは者。それを前に、この終末世界の顛末を知って。
(私はどうすれば良い?)
初めて抱える不安や恐れ。迫られる決断。けれど、時は、世界は待ってはくれない。でも、共に歩んだもう一人の、かけがえのない存在に背中を押され。
私は選ぶ。
一歩を、勇気を、他ならぬその灰へ。
そこへ宿るのは絶望か。それとも希望か。
手に持つ杖に、紡ぐ言葉に思いをのせて。
最後はただ目覚める世界へ、手を伸ばした。ひたすらに生きた意味を刻んで。