あらすじ
誰にも見送られず、彼女は屋敷を去った。
政略結婚から六年。
義母の看病も、家の帳簿も、すべて彼女が担ってきた。
それでも、身に覚えのない盗みの疑いに、夫は確かめようともしなかった。
追いやられた辺境で、彼女は静かに立ち上がる。
恨みを晴らすためではない。
ただ、目の前の仕事に、夢中になっていっただけだ。
頼れる人も、居場所と呼べる場所も、少しずつ増えていった。
半年後、振り返る暇もないほど、彼女の日々は埋まっている。
そんな折、名誉を返すという使者が、辺境の街を訪れる。
差し出された手を、彼女はどんな顔で見つめるのだろう。