あらすじ
世界を創造したと言われる始祖「世界樹」。
その七枚の葉に選ばれた「選択の子」がいた。
神と呼ばれたその賢人達は人々に世界樹の七つの恩恵である篝火、祝水、蘭風、恵土、銘雷、神秘、天涙を与え、その歩みを進めてきた。
篝火は人に「火」を与えた。
同じように祝水は水を、蘭風は風を、恵土は大地を、銘雷は雷という世界樹の元にのみ発生した現象を惜しみなく分け与えた。
神秘は人に知恵を与えた。
かの神は世界樹から神の統率という命を与えられ全ての神を見通す「七つ星の眼」を与えられた。
天涙は人に涙を与えた。
感動を、努力を、感謝を...
あらゆるものを伝える万能の癒しを与えた。
しかし、神も万能ではない。
神は代替わりを果たした。
神は人の子であり選択の子に過ぎない。
いかに世界樹の庇護下にあろうともその命はせいぜいがもって1000年の命だった。
その多くは力を、知恵を、責務を子に与えていった。
ただ例外もあった。
篝火は己の体をその火に焚べることで自らを半永久的な不死とした。
神秘は観測者であるが故に死を与えられなかった。
そして、天涙はその神性故に死と最も遠いところにあった。
ある年。
流星の尾の八本目が伸びた頃...
天涙は子を成した。
本来平等に命を与えるべき運命の天涙が子を成したのだ。
己の愛情を一身に注げる相手。
万人ではないただ一人の愛し子を、この世で最も愛しい者と成してしまったのだ。
そこから運命の歯車はゆっくりと...
音を立てて崩れていった...
それから数年たった後、二人の幼子が神秘の眼に映る。
一人は紛うことなき天涙の後継であった。
彼女と同じ灰色の髪に黄金のように美しい眼...
そして隠せるはずもない強大な「天涙の加護」...
しかし、神秘は直後目を疑う。
それは本来神の目には映るはずのない八人目の神の存在...
天涙の加護を受けた少女の隣に映る男児...
天涙の子であるのは確かだが、知恵の神にもそれ以外に何も分からない得体の知れない名も無き神...
後に神秘は彼のことをこう呼ぶ。
審判の八人目「テミス」と。