あらすじ
王太子アモーリの婚約者である公爵令嬢オーランスには、正式な職名も報酬もない仕事があった。
それは、聖女ニノンの不用意な発言を相手が受け入れられる言葉へ直し、傷ついた者へ説明し、慈愛に満ちた言葉として公式記録へ残すこと。
三年間、オーランスが後始末を続けてきたからこそ、聖女の失言は一度も大きな問題にならなかった。
しかしアモーリは、ニノンについてこう言う。
「彼女は男友達のようなものだ。君が気にするような関係ではない」
ならば、ご友人の発言には、ご自身で責任をお持ちくださいませ。
オーランスは三年分の記録を王太子府へ提出し、今後の失言訂正業務と婚約を、まとめて返すことにした。
そんな中、隣国の第二王子セヴァスは、誰かのために作られた美しい言葉ではなく、オーランス自身が何を思っているのかを尋ねる。
他人の言葉を支え続けてきた令嬢が、自分の言葉を取り戻すまでの物語。