あらすじ
成人の儀で授かったのは、戦えないハズレスキル『調理』。
家族を養う余裕がないと告げられ、十五歳のタクミは故郷を追われた。
手元にあるのは、包丁と鍋、木のスプーン。そして食べかけの固い黒パンだけ。
帝都を目指す旅の途中、タクミは空腹で倒れかけた少女ミアと出会う。
粗末な野草と黒パンで作った温かなスープは、少女の身体だけでなく、閉ざされていた心も少しずつほどいていく。
だがタクミは知らなかった。
かつて幼い日に、一杯の雑炊を作ってあげた銀髪の少女が、十年後――帝国最強の皇帝となって、ずっと彼を捜し続けていたことを。
「見つけた」
料理しかできないと思っている少年と、世界中から恐れられる“氷血の皇帝”。
これは、追放された料理人が、温かな料理で人の心をほどき、やがて国と世界まで変えていく物語。
そして、十年間待ち続けた皇帝が、今度こそ大切な人を手放さない物語。