あらすじ
『五年のうちに――この街を滅ぼす大進軍が、来ます』
塔の底で拾った相棒は、嘘がつけない。
剣の才がまるでない武家の三男坊・スサナ。文なら学び舎の首席、なのに誉れになるのは討った数だけ。
婿入りか宮仕えか――そんな既定路線は、演習中に「存在しないはずの塔の地下」へ落ちた日に終わった。
そこで拾ったのは、千年分の知恵を持つ、声だけの絡繰り。
嘘がつけず、魔力石を「甘い」と言い、いつか人の体が欲しいという相棒メシス。彼女の勘定が示した期限が、五年。
証はない。言えば家ごと潰れる。おまけにこの島の帳面は、死んだ数を誉れと呼び、生きて帰った数を数えもしない。
なら、五年でぜんぶ作り替える。読みと勘定で仲間を鍛え、後ろで祈るだけだった巫女たちの歌を戦場に返す。
幸いこの島には、巫女と深く結ばれた男ほど強くなるという、古い習わしもある。
これは、剣の振れない少年が、絡繰りの相棒と巫女と仲間たちと共に、滅びの進軍から街を守り抜くまでの――五年きりの相棒との、約束の物語。