あらすじ
「――ようやく見つけた。我が番よ」
婚約者である王太子と、信じていた聖女に裏切られた公爵令嬢エルシア。
「災厄を招く魔女」という濡れ衣を着せられ、弁明すら許されないまま名誉も地位もすべて奪われ、誰も生きて帰れない流刑地へ捨てられてしまう。
そこで彼女を待っていたのは、死――ではなかった。
世界最強と恐れられる竜王だった。
「お前を二度とひとりにはしない」
なぜか竜王の番として抱き寄せられ、料理や花で甘やかされ、夜は大きな尻尾に包まれて眠る。
死を覚悟していたエルシアに、まさかの溺愛生活が始まった。
だが、竜王にはひとつだけ困ったところがあった。
エルシアが王国で受けた仕打ちを知るたびに、
「よし。王国を滅ぼそう」
と言い出すのだ。
「待ってください! そこまでしなくて大丈夫です!」
「しかし、お前を泣かせた」
「だからって国を滅ぼしちゃダメです!」
こうして今日も、エルシアは世界最強の竜王をなだめるのに大忙し。
だが、竜王の怒りを冗談だと思っていた王国は、ついに越えてはならない一線を越えてしまう。
――その日、エルシアは初めて、竜王を止めなかった。