あらすじ

日本で目立たない事務職として働いていた神崎悠真は、ある日、剣と魔法の世界アルカ・レクシアへ転生する。 彼に与えられた天恵は、見聞きした出来事を文章として残すだけの最低等級能力《記録》。 剣も振るえない。魔法も使えない。傷も治せない。 誰からも役に立たない能力だと笑われる中、赤毛の斥候ノエルだけが、その力の価値を認めてくれた。 ノエルに誘われ、冒険者パーティー〈灰色の雲雀〉へ加わった悠真は、初めて自分の居場所を手に入れる。 しかし、ある夜。 世界を書き換える白い鐘が鳴り、ノエルは跡形もなく消えてしまう。 仲間たちは、最初からノエルなど存在しなかったと言う。 部屋も、持ち物も、出生の記録も消え、彼が生きていた証拠は何一つ残っていない。 ただし。 悠真の黒い手帳にだけは、ノエルの名前が残されていた。 《記録》の本当の力。 それは、世界から消された存在を、改変の外側へ残すこと。 悠真は誰にも覚えられていない人々の人生を記し、世界そのものを書き換える存在へ立ち向かう。 だが、消された者を記録するたびに、代償として悠真自身の記憶が失われていく。 故郷の景色。 母親の声。 自分が何者だったのか。 他人を忘れないために、自分自身を失っていく記録係は、それでも問い続ける。 誰にも覚えられなくなったとき、人は本当に消えてしまうのか。 そして、苦しみや悲しみを抱えた世界を、それでも残す価値はあるのか。

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小説を読もう2026/07/23
  • 現在の作品記録係の俺だけが、消えた世界を覚えている