あらすじ
秋の坂道の途中にある、小さな神社。
理由は分からない。
それでも、その場所へ足を運びたくなる日があった。
石段に積もる銀杏の葉。
静かに風を受ける社。
そして、落ち葉を返しながら暮らす一匹のたぬき。
言葉を交わすことはない。
触れ合うこともない。
それでも季節を重ねるたび、互いの存在は心のどこかへ静かに残っていく。
秋から冬へ、冬から春へ――。
四季の移ろいとともに描かれる、小さな命と一人の人の穏やかな時間。
何も起こらないからこそ、忘れられない景色がある。
忙しい日々の中で立ち止まりたくなったとき、そっとページを開いてほしい一冊です。
――雨宮 灯