あらすじ
夏の終わりの夜、響華恋(ひびき・かれん)は眠りにつき、目を覚ますと異世界の聖堂にいた。三年がかりの儀式で召喚された「聖女」だという。だが力を測る水晶は沈黙し、銀髪の皇太子から「不必要な存在だ」と告げられる。
帰る術はない。絶望の底で食事も喉を通らない華恋を救ったのは、専属侍女エマの押しの強い優しさだった。
「帰るために、生きる」と決めた華恋は、この世界を知るために書庫を目指す。だが侍女長は言い放った。
「この離宮では、働かざる者食うべからず。……洗濯場の一番汚れたシーツでも洗ってから、おっしゃることね」
――上等。洗ってやろうじゃないの。
灰汁で手を荒らし、十二歳の少女に洗濯を教わり、少しずつ居場所を作っていく。