あらすじ
【完結済みを1話ずつ投稿します。毎日23時予定】
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神社の娘である千紘(ちひろ)は、山のなかで、嶺代家の長男の達紫(たつし)に助けられる。
翌朝、達紫と再会した千紘は、彼が呪われていること、その呪いを軽減させるには、千紘との結婚が必要だと知らされる。
呪いの発作に苦しむ彼は、しかし、誰の手も掴もうとしない。
(こんなに苦しそうなのに、なんで、そんな)
強がりでも、気遣いでもない。彼は"強くあらねばらない"という自身の縄に囚われているようだった。
「達紫さんと結婚したいです」
気がつくと、達紫を抱きしめていた。
罪悪感か、同情か。自分でもわからない感情に突き動かされていた。
ふたりの結婚が決定し、同棲を開始する。
達紫の不器用な優しさと歩み寄りを確かに感じ、千紘はこの結婚がうまく続くといいと願う。
そんななか、達紫の実家が慌ただしくなる。
外鳴神(そとなるかみ)と呼ばれる自然災害、その祓いについて、ある重要な役割が降ってわいたのだ。
達紫は責任感の強さから、重責に心身が追いつめられる。
千紘はなにも手伝えず、達紫が日に日に弱る姿を見ているしかない。
(私はなにもできない)
表面上は、お互いに気遣いをしてうまくいっているように見える。
それが薄氷を踏むような関係だと、千紘は気付き始めていた。
困難を乗り越えた果て、千紘は自分と彼の心のうちにたどり着く。
それは、空っぽの彼女だからこそ見つけられたものだった。