あらすじ
乙女ゲームの悪役令息ルシル・ヴァン・クロイツに転生した俺。
しかし、この身体は魔力が命を食いつぶす不治の病を患っており、余命はあと一年だった。
どうせ死ぬなら、シナリオの破滅フラグを回避し、誰の記憶にも残らず静かに消え去りたい。
そう願って王太子アルフレッドに婚約破棄を申し出た。
――だが、それがすべての狂気の始まりだった。
「君の手はひどく冷たいね。まるで死人のようだ。……婚約の破棄は認めない」
何も望まず、ただ消えようとするルシルの儚げな諦観は、逆に攻略対象たちのドス黒い支配欲と執着に火をつけてしまう。
ヤンデレ王太子アルフレッドの圧倒的な拘束。
実直な騎士ガレッドの盲目的な献身。
天才魔術師ノアの狂気的な探究。
ルシルが死の淵へ沈み込もうとしたとき、三人は神の理に逆らう禁忌の魔術を実行する。
それは、自らの命と魔力をルシルの身体へ直接繋ぎ止める『命の共有契約』だった――。
「君はもう、どこへも行けない。永遠に、私たちと共にあるんだ」
死んで逃げることすら許されない豪奢な鳥籠の中、悪役令息は息が詰まるほど甘い絶望と幸福に溺れていく。
ヤンデレ執着BLファンタジー、ここに開幕。
【登場人物紹介】
◇ルシル・ヴァン・クロイツ
クロイツ公爵家の三男。前世の記憶を取り戻し自分が乙女ゲームの悪役令息であることに気づく。作中の設定通りに命を削る不治の病を患っており余命が短いと思い込んでいる。どうせ死ぬなら静かに余生を過ごしたいと願う無気力で儚げな青年。その諦観に満ちた態度が無意識のうちに周囲の執着を煽ってしまう。
◇アルフレッド・フォン・ルミナス
ルミナス王国の第一王子。本来の乙女ゲームのメイン攻略対象。完璧な王子として振る舞うことに退屈していたが、死を受け入れて何も望まないルシルに出会い彼を自分だけのものにするための暗く重たい情念に目覚める。ルシルの周囲を徹底的に管理し美しい鳥籠に閉じ込めようとするヤンデレ。
◇ガレッド・バルバトス
王室近衛騎士団長の息子。攻略対象の一人。実直で剣の道に生きる青年だがルシルの脆さと彼が時折見せる虚無感に触れ、彼を守ることこそが自らの使命だと盲信し始める。
◇ノア・エルメス
王宮筆頭魔術師の弟子であり若き天才。攻略対象の一人。魔力の流れを見ることができるためルシルの命が削られていく様子に気づき、彼を生かすための研究に没頭する。