あらすじ
千年近い時を生きながら、十三歳ほどの少年の姿をした魔族、ゼラス=ヴェルゼイア。
かつて故郷も家族も失った彼は、長い戦乱の時代を生き抜き、英雄とも怪物とも呼ばれるほどの力を手に入れた。
しかし現在の彼が望んでいるのは、国を支配することでも、過去の復讐を果たすことでもない。
風を操る魔族の女性リズナと共に、気ままに世界を旅することだった。
そんな二人が足を踏み入れたのは、公には七十二階層までしか確認されていない巨大迷宮――グラン・ラビリス。
迷宮狂いの探索者シェルミア、ゼラスの過去を知る魔皇軍第一席リュミエラを加え、四人はさらに深い階層を目指していく。
だが迷宮の奥には、歴史から消された階層と、ゼラスが八百年前に置き去りにした秘密が眠っていた。
なぜ、彼は少年の姿になったのか。
彼が秘匿する魔剣には、何が封じられているのか。
そして、ゼラスとリズナの旅は、やがて二人の故郷と世界の過去を巡る戦いへつながっていく。
これは、悠久の時を生きる魔族と風使いの相棒が、失われたものを拾い直しながら歩む冒険譚。