あらすじ

~登場人物の紹介とあらすじ~ i)登場人物の紹介 【イングアー】 礼拝堂で古い辞典や契約書を書き写して暮らす、病弱そうな写字生。人から軽く見られる外見を逆手に取り、相手の言葉や視線を冷静に読み解く。黒いペンで物事を「事実・感情・推測」に分けて記録するのが習慣。 【モリトズ】 冷たい美貌で知られる王弟にして、王城記録局の責任者。言葉は短く無愛想だが、民の水や食卓を守るため、厨房の煙除けや竹の小皿まで真剣に研究している。人を心配する気持ちを、素直な言葉にするのが苦手。 【アラクス】 王城記録局で働く若い補佐官。正確な仕事をする一方、褒められると動揺してインク壺を倒しかける。イングアーたちの調査を、地道な資料整理で支える。 【ジアナ】 王城の門と記録を守る女騎士。規則に厳しく、イングアーを簡単には信用しないが、筋を通す者には正当な協力を惜しまない。 【ドアルエリ】 王都の食堂「湯気亭」の店主。王城の帳簿では見えない、民の暮らしと怒りを知る人物。温かいスープと歯に衣着せぬ言葉で、二人を支える。 ii)あらすじ 礼拝堂で古い水源契約を書き写していたイングアーは、共同井戸集落の名が一箇所だけ消されていることに気づく。 彼女が黒いペンで余白に記したのは、「事実・感情・推測」の三項目。 その小さな違和感を見逃さなかった王弟モリトズに呼び出され、イングアーは王城記録局で契約改竄の調査に加わることになる。 ところが、冷酷な美貌の王弟として恐れられるモリトズは、厨房の煙除け装置を作って小麦粉まみれになり、子どもでも持ちやすい竹の小皿を真剣に調べる、不器用すぎる人物だった。 やがてイングアーは、調査のためにモリトズの婚約者として扱われることになる。 婚約の噂、消された水路、偽造された契約書、閉ざされた倉、砂の下で生き続ける古い水の道。 弱そうに見えることを武器にする写字生と、心配を命令の形でしか伝えられない王弟は、王城の記録だけでなく、井戸端の言葉、台所の鍋、子どもの遊び、匿名掲示板の声を集め、奪われた水と消された人々の名を取り戻していく。 これは、黒いペンで国の嘘をほどきながら、偽りの婚約を本物の帰る場所へ変えていく

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/07/22
  • 現在の作品黒いペンと砂漠王国の花嫁辞典