あらすじ
母を殺したのは、世界が“正しい”と定めた存在――大天使ミカエリスだった。
その日、エレナの人生は終わり、復讐だけが彼女を生かす理由になった。境界領域で、彼女は天使を素手で叩き潰す。
人間ではあり得ない力。
弟アベルは震えながら問う。
「姉さん、何をしたんだよ……」
返ってきた答えは、あまりにも静かだった。――寿命の半分を代償に、最上位悪魔アザエルと契約した。母の死の真相を追うため、禁忌に手を伸ばしたエレナ。
呼び出した悪魔は、異端の最上位悪魔アザエル。
彼は人間の少女の願いを面白がり、力を与えた。
だがその代償は、命だけではない。
心も、身体も、ゆっくりと壊れていく。アベルは止めたい。
けれど、姉はもう昔の姉ではない。
優しく笑っていた背中は、復讐だけを見据える刃へと変わっていた。天使は“正義”を掲げ、罪なき者を処理する。
その頂点に立つミカエリスは、母を「不要な因子」として排除した。
世界はそれを正しいと呼ぶ。
だからエレナは、世界そのものを敵に回す。
「全部殺す。母さんを奪った“正義”を、私が壊す」エレナの宣言は天界を震わせた。
高位天使カルスが降臨し、世界がひれ伏すほどの光が大地を焼く。
だが、エレナは笑う。壊れた人間だけが浮かべる、薄い微笑みで。
アベルは叫ぶ。
「姉さんを失いたくない!」
だか、その声は届かない。
復讐の炎は、もう止まらない。これは――
母を殺した大天使ミカエリスに復讐するため、姉と弟が“正義”そのものを殺しに行く物語。