あらすじ
「この海には、大人が捨てた過去と、子供たちが掴む未来が眠っている。」
平成十年、夏。相模湾沿いの鄙びた漁町・鴎ヶ埼(かもめがさき)。
小学六年生の早川隆は、ある朝、浜辺でカツアゲされていた華奢な少年、一ノ瀬優希を助ける。
その日、隆が海岸で拾った一枚の古びたメダル。それが、忘れられた密貿易の歴史と「海中洞窟に眠る宝」の謎を呼び覚ます。
地元の仲間たちと共に、古い航空写真や神社の伝承から宝の隠し場所へと迫る子供たち。
しかしその陰で、三十年の執念に狂わされた古物商・松崎修一の暗い影が忍び寄っていた。
熱気に満ちた夏祭りの夜、すれ違いから一人秘密基地へ向かった優希の前に、修一が現れる。
危険な企みを抱く修一と、駆けつけた隆。潮が刻一刻と満ちゆく暗闇の洞窟の中で、それぞれの想いが激しく交錯する――。
過去に囚われた大人と、未来へ生きる少年少女。
満天の星空と波音のなかで紡がれる、ノスタルジック海洋冒険ミステリー。