あらすじ
女がスイッチを押すたび、短い電子音のあとに、男の身体へ生理痛を模した電流が流れる。
月経痛疑似体験プログラムへ女性側の操作役として参加したおとは、「理解しようとして来た異性を、女の手で苦しめるのは違う」と反発する。
担当となった男・ともも、女性の痛みを安易に理解したとは言わない、誠実な参加者だった。
しかし、ともが「女性は男性の何を理解してくれるのか」と問いかけたとき、おとの中に、かつて男たちから「女のほうが下だ」と笑われた記憶が蘇る。
ピッ。
最初は痛みを伝えるためだった音。
やがてそれは、男の反論を止め、涙を暴き、正しい答えを教える音へ変わっていく。
これは、相互理解を目的としたプログラムの中で、一人の女が男という性別への復讐に目覚め、一人の男が自分の声を失っていく物語。