あらすじ
長いの眠りから目覚めた青年エメラは、何もない廃墟の中で目を覚ました。
傍らにいたのは、口の悪い黒い魔獣——ダンテ。猫ほどの小さな体に似合わぬ鋭い知性を持ち、人語を操るその魔獣と、エメラは理由も分からぬまま旅に出ることになる。
エメラが持つのは、現代ではほとんど使用されることがなくなったとされる詠唱魔術と、希少すぎるがゆえに術式すら市場に出回らない木属性の力。各地に残された謎の石碑——無言の碑を探し、情報を集めていく。
旅の中でエメラは、様々な人間と出会い、時に助け、時に助けられながら、広大な世界を旅していく。
しかしその旅路に、静かな影が忍び寄る。まるでエメラの目覚めに呼応するように各地で正体不明の魔獣が突然出現し、街を脅かす。組織的な敵対者、消えた人々の噂、点と点が、少しずつ繋がり始める。
エメラが探しているのは、かつての仲間の手がかりだ。千年という時の中で、世界はどう変わったのか。残されたものは何で、失われたものは何なのか。
それを確かめるために、エメラとダンテは今日も歩く。
口数少ないが誠実な術師と、強がりだが心根の真っすぐな魔獣が、二人で一つの旅をしていく——そういう物語だ。