あらすじ
結婚式当日。祭壇の前で待っていたわたくしのもとへ、新郎は来ませんでした。
これで、三度目です。
社交界はわたくしを「呪われた花嫁」と呼びます。三度も逃げられる令嬢など、よほど魅力がないのだろう、と憐れんでくださいます。
——結構ですわ。訂正するつもりはございません。
だって、逃がしているのはわたくしですもの。
一人目は、賭博の負債を隠していました。二人目は、妻を三人亡くしていました。三人目は——少し、事情が違いました。
わたくしはただ、婚姻契約書の附則に、彼らが署名できない条項を一つずつ書き添えただけ。嘘は一つも書いておりません。全部、そこに書いてあります。
読まなかったのは、あちらです。
——ところで、四人目に名乗り出たこの方。契約書を、二時間かけて最後まで読んでいらっしゃるのですが。