あらすじ
第一王子リチャードは、王位争いに向かない男だった。
文武両道、品行方正、清廉潔白。王子として必要な教養も武芸も、誰より真面目に修めてきた。だが、野心家の弟ジョージは宰相オースティンと手を組み、貴族議会を掌握。リチャードの婚約者である大帝国第三皇女グリューネワルトまで奪い、ついには国家反逆罪の証拠を捏造する。
叔父である王弟公爵ベンジャミンにも見放され、毒杯による処刑を命じられたリチャードは、自ら死を選んだ――はずだった。
擬死によって王城を脱出した彼は、王子の名も王位も捨て、城下で自由な生活を始める。
紅茶を楽しみ、庭を手入れし、冒険者として人助けに励む穏やかな日々。
しかし、死んだはずの兄が城下で遊んでいると知ったジョージは、暗殺者、殺し屋、呪い師を次々と差し向ける。
だが彼らは知らなかった。
神祇無窮流の免許皆伝。王族特有の膨大な魔力。身体強化、物理防御、魔法防御。そして王子として叩き込まれた、気狂いじみた量の教養と訓練。
権力争いでは敗れたリチャードも、市井に降りれば規格外の怪物だった。
悪党少女ロビンフッド、聖女エルナーデ、剣闘士ジャック。
癖の強い仲間たちに囲まれ、廃位王子は今日も自由を満喫する。
一方、王宮では兄を殺したい弟王子の焦燥が、静かに王国を蝕み始めていた。