あらすじ
眠らない街、バンコク。
観光、投資、恋愛、仕事、移住。
新しい人生を求めてタイを訪れた日本人たちの中には、思いがけず事件に巻き込まれ、警察署や裁判所、病院、入国管理局へたどり着く者もいる。
主人公・真壁彩は、日本語とタイ語をつなぐ司法通訳。
彼女の前に現れるのは、知人から預かった荷物で逮捕された会社員、投資話に全財産を失った高齢者、事故の責任を争う旅行者、帰国できなくなった長期滞在者、家族にも言えない秘密を抱えた逃亡者たち。
しかし、司法通訳は警察官ではない。
弁護士でも、領事館職員でもない。
被害者を救うことも、被疑者を無罪にすることもできない。
ただ、誰かの人生を左右する一言を、落とさず、加えず、正確に運ぶ。
日本人被害者、日本人被疑者、タイ警察、弁護士、病院、入国管理局、日本領事館。
同じ事件でも、立場が変われば真実の見え方はまったく異なる。
実際に報道されてきた海外犯罪や社会問題の類型に着想を得ながら、すべての登場人物と事件を架空として描く、全25話の社会派連作事件小説。
危ないのは、悪人だけではない。
「自分だけは大丈夫だ」と信じている、普通の人間なのかもしれない。