あらすじ
橿原に宮が建ってから——王の名が十二、積み重なった。
祟る神を鎮めた王がいた。土の人形で殉死を止めた王がいた。
名前だけが残り、事績のない王もいた。——それでも根は伸びた。
見えない根が、盆地の下を。
十二代目の王に——息子が生まれた。双子の片割れ。
兄を素手で殺した。——十五の夏だった。
父が恐れた。「あの子を遠くにやれ」。
西に送られた。クマソを討て、と。
女の衣を着て宴に入った。笑いながら殺した。
死にかけた敵が言った。「お前が——日本武尊(やまとたけるのみこと)だ」。
名前を敵にもらった。