あらすじ
生まれつき、人が誰かに向ける想いの“本当の色”が視えるアリシア。深い愛は金色に、労りは若草色に、そして偽りは——無色に映る。
けれど不思議なことに、自分自身に向けられた想いの色だけは、生まれてから一度も視えたことがない。だからアリシアは、誰に本当に愛されているのかを、ただの一度も知らないまま生きてきた。
婚約者である公爵子息が「君を愛している」と告げるその胸元は、無色だった。そして彼が義妹へ向ける眼差しには、確かに色があった。婚約破棄を告げられた夜会で、アリシアは静かに微笑む。——あなたの愛が嘘だと、わたくしは最初から存じておりました。
家を追われた彼女に手を差し伸べたのは、社交界で「氷の辺境伯」と噂される寡黙な男。あらゆる人の想いを視てきたアリシアにさえ、なぜか彼の色だけは視えない。
偽りの愛に囲まれて育った令嬢は、視えないまま差し出されたこの手を、信じてもいいのだろうか。
想いの色を視る娘が、たった一つ視えない“本物”に出会う物語。
(全30話・毎日更新/6日完結予定)