あらすじ
フリーライターの田島弓子、三十四歳。
最初はオムレツの作り方を聞くだけのつもりだった。それがいつの間にか、取材メール、記事の構成、見出し、締めの一文——原稿のほぼ全部をAIに相談するようになっていた。
編集者には「最近、完成度が上がりましたね」と褒められる。でも、自分の原稿を読み返すたびに、どこかで読んだことがある気がする。どこで読んだかは、思い出せない。
転機は、「わたしが料理を好きな理由」を書いてほしいというエッセイの依頼。AIに頼んで出てきた文章は、読みやすくて、まとまっていて——完全に、嘘だった。
笑えて、ちょっと怖くて、最後に少しだけ温かい。AIと人間と、玄関先の猫と、書くことの話。