あらすじ
生まれた時から音を知らなかった。
耳は聞こえず、声で話すこともできない。
重い病を抱えながらも、家族に深く愛され、小さな幸せを大切に生きてきた一人の少女。
それでも彼女には、たった一つだけ叶わなかった願いがあった。
――「もう一度だけでいい。あなたの声を聞いてみたかった。」
十四歳という短い人生の終わり。
その願いは叶わないまま、少女は静かに目を閉じる。
……だが、次に目を覚ました時、そこは剣と魔法が存在する異世界だった。
初めて聞く母の声。
初めて感じる風の音。
鳥のさえずり、雨音、笑い声。
前世では当たり前ではなかったすべてが、この世界では奇跡だった。
これは、叶えられなかった願いを一つずつ叶えながら、新たな家族や仲間と出会い、ときに戦い、ときに涙を流し、それでも前を向いて生き続ける、一人の少女の長い物語。