あらすじ
「ここ、本当はゲームじゃないんだけど……」
巨大なネズミを見れば「経験値と素材だ!」と喜び、
崩れかけた空き家を与えれば「個人住宅を手に入れた!」と歓声を上げ、
魔物に殺されても、二十四時間後には嬉々として戻ってくる。
異世界を“完全没入型ゲーム”だと信じ込んだプレイヤーたちは、今日も灰棘領で働きすぎていた。
伯爵家の争いに敗れ、辺境へ追放されたアルヴィン。
彼に与えられた領地は、住民わずか四十六人。
まともに働ける者は十二人。
食料はあと二十二日分しかなく、このまま冬を迎えれば多くの領民が命を落とす。
そんな絶望的な状況の中、アルヴィンは地下遺跡で、三千年以上眠っていた銀髪の管理AI・ノアと出会う。
遺跡には、別世界の人間を呼び寄せる機能が残されていた。
しかし、本物の異世界だと伝えても、誰も信じてくれない。
ならば――ゲームということにしてしまえばいい。
こうして地球から召喚されたのは、退屈なゲームに飽きた五人のテストプレイヤー。
彼らにとって、灰棘領は最高難度の開拓ゲームだった。
畑が育たない?
原因を調べればいい。
家がない?
廃墟を自分で直せばいい。
食料が足りない?
巨大ネズミを狩って食べればいい。
魔法、建築、農業、医療、鍛冶、料理――。
現実世界で身につけた知識と経験を武器に、増え続けるプレイヤーたちは、誰も見向きもしなかった辺境を次々と作り変えていく。
プレイヤーにとっては、自由すぎる神ゲーム。
アルヴィンにとっては、領民を冬まで生き延びさせる最後の希望。
これは、異世界をゲームだと思い込んだ不死身のプレイヤーたちが、貧しい辺境領を開拓し、やがて一つの帝国を築き上げてしまう物語。