あらすじ

俺が書いた小説の世界が、現実になった。 正確には、俺が設定だけ考えて、本文はほとんど生成AIに書かせた現代ファンタジー小説である。 通勤途中の駅に現れたのは、異形の怪物《喰影獣グラトニア》。 間違いない。 こんな恥ずかしい名前を付ける人間は、世界に俺しかいない。 幸い、この先の展開は知っている。 この駅で原作主人公が覚醒し、怪物を華麗に倒すのだ。 問題は、原作主人公の顔も、覚醒条件も、怪物の弱点も覚えていないことだった。 なぜなら俺は、完成した小説をほとんど読んでいない。 「次に何が起きる?」 「……大変なことだ」 「場所は?」 「都市部」 「時間は?」 「たぶん夜」 曖昧な記憶と苦し紛れの発言は、なぜか次々と的中。 その結果、俺は未来を見通す謎の重要人物として、原作主人公、疑り深いヒロイン、俺より設定に詳しい研究者から頼られることになってしまう。 違う。 深い考えなんてない。 俺も今、初めて知った。 安全な場所へ逃げたいだけなのに、評価が上がるほど危険な事件の中心へ。 能力の使い方は知らない。 重要人物が敵か味方かも分からない。 最終ボスの倒し方に至っては、そのあたりまで読んだ記憶すらない。 いや、原作者の俺がなんで初見なんだよ! これは、自作世界について誰よりも知らない原作者が、知ったかぶりと偶然で過大評価されながら、今さら自分の物語を攻略していく現代ファンタジーコメディ。

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カクヨム
カクヨム2026/07/21
  • 現在の作品AIに書かせた小説が現実になったけど、原作者の俺が一番設定を知らない