あらすじ

夏の夕方、優輝はふと立ち寄った鳥居の前で、 世界の音が途切れる瞬間に出会う。 胸の奥をひやりと撫でる冷たさとともに、 高くて細い、優しくて冷たい女性の声──冷香が 静寂の底から優輝の名を呼ぶ。 影は優輝の影をそっと握り、 冷香は「戻れなくなる」と警告する。 優輝の低温で静かな声は、 冷香の世界には存在しない“あたたかさ”を含んでいて、 その温度が境界を揺らしてしまう。 冷香は優輝を拒むのではなく、 守ろうとしていた。 「あなたが来たら、わたし……消えてしまう」 それでも優輝は、 冷香の声が消えてほしくないと願う。 触れられない二人の温度が影の中で重なり、 境界の世界は静かに揺れ始める。 最後に冷香は、 泣いているような声でそっと告げる。 「……ゆうき……  また……呼んでね……」 優輝の胸の奥には、 冷たさだけが優しく残った。

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カクヨム
カクヨム2026/07/21
  • 現在の作品静寂の鳥居