あらすじ

宮廷菓子師の名家シュクレ家の令嬢マノンにとって、菓子は「当てる」ものではなく「読む」ものだった。焼き色、配合、砂糖細工の徴——舌ひとつで、その菓子を誰が焼いたかまで言い当てる。 だが三国の和平を祝う婚礼の祝宴で、献上菓子の毒見をした老毒見役ギヨームが死ぬ。宮廷菓子頭バルタザールは「マノンの菓子だ」と証言し、婚約者セドリックは「毒を盛った菓子師」と公衆の面前で彼女を切り捨てた。査問もないまま、マノンは追放される。 だが——献上台の菓子は、彼女が焼いたものではなかった。すり替えられた、毒入りの偽物。真犯人は、和平を潰したい主戦派に通じた者。 半年後、開戦寸前の最後の評定へ、マノンを連れ戻したのは、外交の宴で彼女の菓子を年に幾度も食べ、その手を舌で覚えた隣国の第二王子リオネルだった。「あれは、君の手じゃない」。三君主の御前で、マノンは保管された献上菓子をひと口味わい、静かに言う。 舌は、欺けない。

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カクヨム
カクヨム2026/07/21
  • 現在の作品「毒を盛った菓子師」と追放された令嬢——三国の和平が崩れた夜、その舌だけが偽物を見抜いた